WEBサイトを運用していると1つのページに対して複数のURL(wwwやindex.htmlの有無など)が設定されていることが多々あります。結果的に同じページが表示されるとしても、検索エンジンはそれぞれ別のサイトとして認識されてしまう可能性があり、SEOの観点からすると好ましくありません。
例えば、評価が100点のWEBページにURLが2種類あった場合、それぞれ50点ずつに分かれてしまうイメージです。
そこで活躍するのがcanonical(カノニカル)です。ページ内容がやむをえず類似、または重複している際に、検索結果で優先させたいページを指定するための記述で、複数あるURLのうち、正規のURLを明示することで評価の分散を防ぐことができます。
canonicalと似たようなものに「301リダイレクト」や「noindex」がありますが、前者はURL変更などアクセスをどちらか一方に集中させたい場合、後者は未完成のページなど検索結果に表示させたくない場合に用いる点で異なります。
canonicalが有効なシーンとしては以下のようなものが挙げられます。
1. 301リダイレクトに対応していないサーバーでのURL正規化
移転などでは301リダイレクトを利用するのが一般的ですが、サーバーの関係で使えないことがあります。そのようなときに役立つのがcanonicalです。「移転しました。5秒後に移転先へジャンプします」など、旧サイトから新サイトへ誘導させるのが一般的です。
2.色違い・サイズ違いの商品ページ
たとえば自動車の商品ページで「ホワイト」「シルバー」「ブラック」など複数のカラーが存在していて、それぞれに固有のページが存在している場合、どうしても内容的には重複してしまいます。しかしcanonicalを使えばペナルティを受けずに評価を一本化できます。
3. A/Bテストを行ないたい場合
A/Bテストとは、ユーザーに複数の案を提示して、反応を見ることでどちらがすぐれているのかを決定する方法です。WEBサイトではデザインが異なるページを複数用意して、どちらのほうが人気や売り上げが高くなるのかテストする場合があります。通常は重複コンテンツとみなされてしまいますが、canonicalを使えば回避可能です。
これらはあくまで一例です。ほかにもcanonicalを組み込むことによって評価が上がるケースがあります。ただし、canonicalは万能ではありません。なかにはcanonicalの導入によって評価を下げてしまう場合もあるので気をつけて導入するようにしましょう。
確かにcanonicalは便利ですが、注意してほしいのは「検索結果の順位が上がるタグ」ではありません。たとえばAのページからBのページにcanonicalを向けた場合、Bのページは検索結果に表示されますが、Aのページは検索結果に表示されません。また、設定を間違えてしまうと正規のURLが検索エンジンに表示されなくなってしまう恐れもあります。
このように場合によっては大きなビジネスチャンスを失うことにもなるので、canonicalタグを導入する際には充分に注意して設定するようにしましょう。