ホームページの制作においても著作権をきちんと考慮する必要があります。
しかし、ホームページには著作権に該当する部分と判断しがたい部分があるため難しいところも多いです。また、ホームページの場合、制作者と運営者が異なるケースも多く、ホームページを外注する際に著作権の扱いで気をつけなければならないポイントもあります。
本記事では、ホームページ制作の著作権、著作権譲渡について解説します。
著作権とは著作物および作成した著作者に発生する権利のことで、著作権法に定められています。著作権は「著作権(財産権)」と「著作者人格権」からなります。
著作権というと、著作権(財産権)を一般的に指します。著作権(財産権)は財産に対する権利ですので他者への譲渡が可能です。一方、著作者人格権とは、著作者の人格保護を目的にする権利です。そのため、著作者人格権は他者に譲渡できるものではありません。
ホームページの制作に使う設計書やデザイン、ソースコードがそもそも著作物に該当するものであるのか一概にいうことはできません。
ここでは、ホームページにおける下記5つの著作権について説明します。
それぞれ詳しく解説します。
設計書とはサイト構成などの設計をまとめたドキュメント全般です。
設計書は著作物として認められる場合と認められない場合があります。設計書に著作権が発生するかは設計書の内容によります。
設計書同様、デザイン・レイアウトが著作物として認められるかは曖昧です。
デザインは個別に制作したデザインであれば、著作物として認められる可能性が高いといわれています。しかし、発注者の指示に従って制作したデザインについては創作性が認められないため、著作権が発生しないというケースも多いです。
レイアウトについては、著作物と認められないことがほとんどです。レイアウトは創作を表現するための手段としてみなされています。
ほとんどのホームページには写真やイラスト、あるいは動画が挿入されています。これらの著作権は制作した人に対して与えられます。
フリー素材を使用する場合は、完全に自由に利用してよいわけではなく必ず利用規約があります。加工が認められていない素材やクレジット表記・素材掲載元のリンクを表示しなければならないケースがあります。利用規約の範囲で正しく利用するように、しっかりと確認してください。
コラムなどの文章を作成するには表現力や創意工夫が必要不可欠です。特に、文字数が多い文章の場合、書き手の個性や特徴がよく表れるでしょう。
また、ある程度の長さがある文章であれば、全く同じ文章を別の誰かも創出できるとは考えられません。そのため、コラムなどの文章には著作権が基本的に認められます。
ほとんどのホームページの構造はHTMLやCSSといった言語で定義されています。
HTMLやCSSは定まったタグの集約ですので、誰が制作しても大きく変わりません。多少の変化は出せるものの、全てを変えることは難しいといえるでしょう。そのため、著作物として認められない可能性が高いと考えられます。
ホームページ制作を外注する企業は多いですが、外注した場合はホームページの著作権がどこに生じるのか疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。
ここでは、ホームページ制作の外注において著作権を譲渡するケースと譲渡しないケースについて解説します。
Web制作会社、もしくは制作者は制作したホームページの著作権を顧客に譲渡するのが一般的です。
ホームページの著作権を顧客に譲渡するためには、Web制作の契約書に著作権譲渡条項と著作者人格権不行使条項を入れておく必要があります。著作者人格権は譲渡できる権利ではありませんが、行使しないという条項を入れることで対処可能です。
上記の手続きを行うことで、著作者財産権は顧客に所属し、著作者人格権は制作者に帰属するものの権利を行使できない状態になります。
著作権の譲渡を断るWeb制作会社や制作者も少なからずいるようです。
例えば、著作権譲渡が断られる理由として下記の2つが挙げられます。
ホームページには著作権が発生する部分と著作権の発生が曖昧な部分があります。そのため、ホームページの制作者や運営者は著作権が発生する部分についてしっかりと把握しておかなければなりません。
また、ホームページ制作を外注する場合、契約の段階で著作権の譲渡について確認しておくことをおすすめします。納品後、制作者と依頼者間で著作権の扱いに相違がある場合、トラブルに発展する可能性もあるので気をつけてください。